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人間の中に魔力を充填させるとは、誰が考えようか…。



『…人間の体内に魔力を充填させる?…そんなことをしても、奴らには何のメリットもないんじゃないのか?』

「そ、そりゃそうなんだけど…」



そんな推測を立ててしまったら、報告をせずにはいられない。

何度も何度も電話をかけ、ようやく剣軌に繋がったのは、すでに練習試合も終わった頃だった。



『魔力を充填させたところで喰らっても、魔族にとっては単に自分の魔力を出し入れしただけに過ぎないのは、わかってるだろ?』

「そ、それはわかってるよ。でも、そしたら何で奴らは伶士にリグ・ヴェーダの羽根を口にさせたんだ?」

『そこは不可解だな。あのクソヤローの羽根は魔族にとっては増強剤だが、人間にとっちゃただの苦痛でしかない』

「…そこに何か企みがあんだよ、きっと。単に折檻をするためだけなら、周りに気付かれないよう工作するか?きっと、私達の想像を超える何かを奴らは企んでいるんだ」

『本当に想像がつかないな』



奴らが伶士を狙う理由とは、何か。

伶士にしか持っていない『特別なもの』とは、何か。