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そうしてたどり着いたのは校舎裏だった。


花壇は相変わらず元気よく花々が咲いている。


しかし一か所だけ花の元気がない場所があり、あたしは松本くんがここに倒れ込んだときのことを思い出してしまった。


松本くんの下敷きになった花だけ萎れていて、下を向いている。


しかし、水当番の子が気がついて液体状の栄養を土にさしてくれているのがわかった。


早く元気になるといいね。


松本くんも、この栄養剤で前を向いてくれるようになればいいのに。


そんなことをぼんやりと考えていると、勇人のせき払いが聞こえてきて視線を上げた。


勇人の頬が真っ赤に染まっている。


一瞬夕陽のせいかと思ったが、その時間にはまだ早い。


勇人が照れているのだとわかり、あたしは一瞬たじろいだ。


まさか、という予感があった。


でもだって、勇人はあたしが過去のことを説明する時まで待つと言ってくれた。


その時に告白すると……。


思い出してからハッとした。


それなのにあたしは松本くんのことで頭がいっぱいになってしまったのだ。


勇人のことを見ていなかった。


そんなあたしに気がついた勇人が焦っても仕方のないことだった。


「あのさ、俺……」