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それは数日後の放課後のことだった。


すでにルーティーンになりつつある、図書館へ向かおうとした時だった。


「琴江、ちょっと話があるんだ」


教室を出る寸前で勇人が声をかけてきた。


今日も忙しいから、後にして。


そう言おうと思って振り向いた瞬間、勇人の真剣な表情が見えて言葉が出て来なくなった。


「話って?」


代わりに、そう質問をした。


勇人は返事をする代わりにあたしの手を握り締めて、強引に歩きだした。


「勇人、どこに行くの?」


後ろから声をかけても返事がない。


あたしは仕方なく勇人について歩いていくしかなかったのだった。