「え、烈?」


思わず声が出てしまい、慌てて逃げだした。


でも間違いなく松本くんと一緒にいたのは烈だった。


高校には行かず裏社会の人たちと一緒に仕事をしていると噂の烈だ。


どうして烈と松本くんが一緒にいたんだろう?


早足で学校へ向かいながらも、嫌な予感がしてくる。


松本くんの噂が学校内でも一瞬で広まってしまった。


烈も噂に気がついて、松本くんに声をかけたのだとしたら?


裏の組織に勧誘とかだったらどうしよう?


そんなのあたしが気にすることじゃない。


松本くんが自分で考えて判断することだ。


頭では理解しているけれど、やっぱりほっておけない気がした。


気がつくといつの間にか校門を入って校舎を歩いていた。


息が切れていて、ここまでほとんど走ってきたのだとわかった。


今見たことを泉に報告した方がいいだろうか?


それとも勇人?


先生?


わからないままホームルームが始まった。


しかし松本くんは登校してこなかったのだった。