それなのに全く抵抗せずにやられっぱなしになっているのはやっぱりおかしい。


この高校に転校してくる前から同じようなことを繰り返していたことになる。


「前の学校で暴力を受けて、気絶しちゃったらしいよ。でもね、そうやって救急車で運ばれるまで、先生たちは誰も松本くんがイジメられていることに気がつかなかったんだって」


泉の言葉にあたしは顔をしかめた。


「そんなのおかしいよ……」


「うん。だからね、今みたいに松本くん本人がイジメについて誤魔化してたんじゃないかな? さすがに、気絶してからすぐに親が気がついて転校することになったみたいだけど」


松本くんについてそんな噂が流れているとは知らなかった。


学校裏サイトでの情報だろうか。


あのサイトはどんな人でも使うことができるから、松本くんが前にいた学校の生徒が書き込んだとしてもおかしくはなかった。


「なんか、変だよねぇ」


泉は深くため息を吐き出して言った。


「うん……」


松本くんは自分で自分を苦しめているように見える。


それはやっぱり、あたしと似ていると感じられた。