その日の夜、明日の自由時間に一緒に行動する予定だった林崎と作田に嘘っぱちな相談を持ちかけた。
本当のことを言えば非難されるのは目に見えていたからだ。
いくら俺が伊波を好きでいるとはいえ、今の俺にはしっかりとプロセスを踏んで交際している彼女という存在がいる。
それを蔑ろにして伊波に会いに行く俺は、はたから見れば最低な男だと軽蔑されてもおかしくない。

例え俺がどんなに本気を主張しても、世間一般の目から見て非があると咎められるのはこちらであると自覚はしていたのだ。
しかし俺は伊波と共に過ごしたかったから、二人には申し訳ないと思いつつ、でっち上げた親戚に会いに行くなどと偽りを述べた。
沖縄に親戚なんて一人もいないのに。