「何か嫌なことでもあったん?もしかしてオレと同じで宿題が終わってないとか」
「林崎まだ宿題終わってないのか」
「え、お前終わったん?」
「いやだってもう休み三日しかないんだぞ」


お前それヤバいぞと言わんばかりの表情で、林崎が置かれている状況を訴える作田。
しかしそれに対して忠告を受けている当の本人と言えば、危機感のカケラも無い様子でこう言ったのだ。


「なんとかなるって!」


その時の林崎の笑顔を見た俺は、酷く懐かしい気持ちに包まれた。
あの無邪気な表情と前向きな発言が伊波と重なったのだ。

懐かしいだなんて、笑っちまう。
まだ別れてひと月も経っていないはずなのに。
それだけ物理的距離を隔てた伊波が遠い日の存在に感じられるようになってしまったということか。