そんな被害妄想を抱いてしまうほどに、俺は精神的に不安定になっていた。
そんな荒れた感情がしっかりと反映されてしまったプレーを見かねた作田なりの厚意さえ蔑ろにしてしまうなんて、俺も相当参ってるみたいだ。
作田の影がその場から動こうとした矢先、見計らったように新しい影がやってきた。


「ちょっとちょっと~、りゅーや大丈夫なんかよ~?」


今度は林崎だ。林崎は相手を独自のペースに巻き込んで自分の意見を主張するのが上手い。
普段はウザいと感じることもあるが、恐らくこういう奴が世で出世する大人になれるんだと思う。

作田も林崎も、俺にはない魅力をたくさん持っている。
どうも虫の居所が悪かった俺は、髪の毛をわしゃわしゃと掻いてから二人を追い返すつもりで睨むように見上げた。
さっきの作田よりも眉を下げて大袈裟に心配している林崎の様子が、ますます気に入らない。