「今の若い子達は手紙書くのが流行りなのかい?」


店のばあちゃんの問いかけには愛想笑いしながら適当に頷いておくとして、俺は早速借りたペンを紙に走らせようと思ったのだが、思うように言葉が浮かんでこない。
やはり手紙を書くのは苦手だ。
だってなんか女々しいし、俺の字は最悪あとで自分でも解読できないことがあるくらい雑で汚いし、何より文章を考えるのが億劫なのだ。

こんなことを考えながら一週間くらい前にも悩んだ記憶がある。
言葉を送る相手はあの時と同じだ。

唸り声を上げて頭を抱えながらも、瓶を空にするため金平糖を頬張る。
指で摘まむなんて面倒なことしてられないから、そのまま直接口に流し込むようにして食べた。
糖分を接種すれば頭の回転もマシになるかもしれない。

そうして瓶の中から金平糖が消えたと同時に、手紙を書き得ることができた。
真剣に悩んだくせにたった三行というかなりボリューム不足な内容にはなってしまったけれど、俺の率直な想いをシンプルに伝えるにはこれで十分だと自己満足する。