「いらっしゃい。おやまあ、アンタこの間きた子だねぇ」


俺はその明りに引き寄せられるかのように駄菓子屋に立ち寄っていた。
もうすぐ閉店だよ、と笑う店のばあちゃんに軽く頭を下げてから、ある物を探すため忙しなく視線を動かす。

昭和の雰囲気を漂わせているだけに、小ぢんまりしたこの店の中で探し物をするのはそう困難なことではなく、目的の品は簡単に見つかった。
透明な小瓶にぎっしりと詰め込まれたカラフルな金平糖を手に取る。
店のばあちゃんに手渡す際に、紙と書くものを貸してもらえないかとお願いすることも忘れない。
一連の動作が本当に無意識かつ自然なものだった。
さっきまで怠けていた体と思考が勝手に動いて、それはまるで俺に手紙を書くことを強要してくるようで、けど不思議と反発する気も起きない。