そしてあっという間に月日は過ぎて、あれから一年。


「伝えれば吹っ切れられるだろ、か」


お子様思考な私は、妬んだり恨んだり僻んだりばかりで、そんなのマトモに考えたことなかったな。
そりゃ伝えられたら楽になれるだろうとは思っていたけど、それを実行すればアニキを困らせることになるって理解していたから。
でもさっきの間瀬の言葉で精一杯のやるべきことを見つけられた気がする。自己満足かもしれないけれど、きっとやらないよりはマシだ。


「おばあちゃんっ!」


駄菓子屋に駆け込んだ私は、息を切らしたままお店のおばあちゃんを呼んだ。
編み物をしていたおばあちゃんは、相も変わらずゆったりとした動きで私を見やる。


「おや、どうしたんだいなぎさちゃん」
「紙と書くもの貸してもらえるかな?」
「ん?構わないけど、何かするのかい?」


私は元気いっぱい答える。


「手紙を書くの!」


そう、これで私は私の恋に終止符を打つんだ。