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翌日。今日の部活は、弁当持参で午前から夕方までのハードスケジュールだった。
炎天下の中、野外での練習に部員は汗を流しながら懸命にボールを追っている。
俺はというと夏バテ気味の作田をよそに、昨日の練習時からずっとあることを考察していた。
伊波の好きな人について。俺では無いことは分かり切っているというのに、どうにも気掛かりで仕方なかったのだ。
だから練習のあと、日が暮れかけてきた路地を自転車で駆け抜けた。
少しだけ汗臭くないか気になったけど、それよりも好奇心に近いものが勝っていた。
みっちりしごかれた部活で脚の筋肉がカチコチだったけど、全身に追い討ちをかけるようにひたすら自転車を漕ぐ。
おととい伊波は明々後日に引っ越すと言っていた。これは覚えている。間違いない。
つまり明日この地を離れるわけだから、そんな慌しい時にここへ来ている可能性は低い。
けど俺は昨日伊波が投げ掛けてきた「またね」という言葉に賭けてみたかったのだ。
そしてその賭けは吉と出た。
「やぁやぁ。部活お疲れさま」
まるで俺が来ることを確信していたような素振り。
昨日と同じテトラポッドの上に伊波がいたのを確認して、俺は人知れず安堵する。
伊波の隣に置かれた金平糖の小瓶は空になっていた。
翌日。今日の部活は、弁当持参で午前から夕方までのハードスケジュールだった。
炎天下の中、野外での練習に部員は汗を流しながら懸命にボールを追っている。
俺はというと夏バテ気味の作田をよそに、昨日の練習時からずっとあることを考察していた。
伊波の好きな人について。俺では無いことは分かり切っているというのに、どうにも気掛かりで仕方なかったのだ。
だから練習のあと、日が暮れかけてきた路地を自転車で駆け抜けた。
少しだけ汗臭くないか気になったけど、それよりも好奇心に近いものが勝っていた。
みっちりしごかれた部活で脚の筋肉がカチコチだったけど、全身に追い討ちをかけるようにひたすら自転車を漕ぐ。
おととい伊波は明々後日に引っ越すと言っていた。これは覚えている。間違いない。
つまり明日この地を離れるわけだから、そんな慌しい時にここへ来ている可能性は低い。
けど俺は昨日伊波が投げ掛けてきた「またね」という言葉に賭けてみたかったのだ。
そしてその賭けは吉と出た。
「やぁやぁ。部活お疲れさま」
まるで俺が来ることを確信していたような素振り。
昨日と同じテトラポッドの上に伊波がいたのを確認して、俺は人知れず安堵する。
伊波の隣に置かれた金平糖の小瓶は空になっていた。



