「で、どれにする?」
「いや、いいよ。なんか貰ってばっかでワリーし」
「いーっていーって!そんな罪悪感など水平線の彼方に吹っ飛ばせばへっちゃらさー!気にせずどんどん食べてちょうだいなっ」
あ。また言った。
伊波の言葉の意味を脳内で反芻する。
水平線の彼方に吹っ飛ばせばへっちゃら、か。
細かいことは気にしない主義の伊波にピッタリの名言だと思う。
伊波には口癖が二つあった。
ひとつは今のもの、もうひとつは「なんくるないさ」で、どちらもあの球技大会で記憶に残された言葉だ。
明るく前向きで周囲を元気付けてくれるような魔法の言葉だと、俺はらしくもなく考えていた。
伊波のこのセリフを聞くと、不思議と安心感を覚えるというか、言葉の綾っていうのとは違う気がするけど、とにかく落ち着くんだ。
「その、口癖」
「水平線の~、ってやつ?」
「うん。面白いなって思って」
「あははありがとう!これ、好きな人からの受け売りなんだ」
俺は驚いて少しだけ目を見開いた。
何に驚いたかって、ずっと気になってたその口癖が他の誰かからの受け売りであることよりも、伊波に好きな人がいるという事実にだ。
そしてそれは同時に俺の想いが遠回しに否定されることになる。
だって俺にはそんな口癖無いから。
「いや、いいよ。なんか貰ってばっかでワリーし」
「いーっていーって!そんな罪悪感など水平線の彼方に吹っ飛ばせばへっちゃらさー!気にせずどんどん食べてちょうだいなっ」
あ。また言った。
伊波の言葉の意味を脳内で反芻する。
水平線の彼方に吹っ飛ばせばへっちゃら、か。
細かいことは気にしない主義の伊波にピッタリの名言だと思う。
伊波には口癖が二つあった。
ひとつは今のもの、もうひとつは「なんくるないさ」で、どちらもあの球技大会で記憶に残された言葉だ。
明るく前向きで周囲を元気付けてくれるような魔法の言葉だと、俺はらしくもなく考えていた。
伊波のこのセリフを聞くと、不思議と安心感を覚えるというか、言葉の綾っていうのとは違う気がするけど、とにかく落ち着くんだ。
「その、口癖」
「水平線の~、ってやつ?」
「うん。面白いなって思って」
「あははありがとう!これ、好きな人からの受け売りなんだ」
俺は驚いて少しだけ目を見開いた。
何に驚いたかって、ずっと気になってたその口癖が他の誰かからの受け売りであることよりも、伊波に好きな人がいるという事実にだ。
そしてそれは同時に俺の想いが遠回しに否定されることになる。
だって俺にはそんな口癖無いから。



