押し寄せる劣等感にふさぎ込んだ表情をしていると、視界に透き通った色とりどりの粒が入ってきた。


「お次は金平糖でもいかがですか?」


顔をあげると小瓶を持った伊波が満面の笑みでいた。
お次って、まだふ菓子だって食べ終わってないのに。


「他にもねー、ねり飴とかすっぱいイカのやつとか、五円玉の形したチョコとかきなこねじりとか、あとねこれめっちゃオススメ!」


そう言って伊波が咥えたのはチョークのような細い棒状のラムネ菓子。
まるでタバコを吸うような動作を見せて、「なんか悪いことしてる気分になれるの!」と無邪気に笑った。

普段はクラスのみんなを引っ張っていくような頼もしい伊波だけど、こういう姿を見てると純粋に可愛いな、なんて率直に思ってしまう……って何考えてるんだ俺!
心の中で言えど、可愛いだなんて感情を抱いてしまったことに赤面した。