まさか、これはあの時の……?
僅かな期待がどんどん膨らんで、大きなものになっていく。


「あけてあけて~」


娘が差し出してきた小瓶を受け取ると、少しだけ自分の体が震えているのが分かった。
私はこの小瓶を知っている。開く前からそんな確信めいたものがあった。

所々劣化しているようにも見えたけど、流石は耐久性に優れたガラス瓶。
本来の役割はしっかりと果たせているようで、中の紙は無事だった。
私は意を決してゆっくりとそれを開く。

“未来の自分達へ。どうかこの先もずっと笑っていてください”

お世辞にも綺麗と言えない字と、それとはまた違う雰囲気の丸っこい字。
二人の人物が書いた一言のメッセージは、私の頭の中で反響を繰り返した。
その度に涙腺を刺激され、目尻に浮かんでいた涙が頬を伝う。

やっぱりそうだ。これは過去の私が綴ったもので間違いない。
やだな、どうしてこんな皮肉めいた奇跡みたいなこと起きちゃうかな。