「昨日間瀬と約束してから慌てて小瓶確保したんだよー」


ちゃっかりしてる伊波に感心しつつも俺は「なるほどな」と笑みを零す。


「今回は誰宛てなんだ?」
「二人で一緒にさ、未来の自分達に向けてメッセージを送ろうよ」


伊波は砂浜にしゃがみ込むと、これまた用意周到なことに厚めの下敷きまで持ってきていて、その上にメモ用紙を重ねた。
端からやる気満々だったというわけか。

どんな内容にするか案を上げている時、昔駄菓子屋で書いた伊波宛てのラブレターもどきを思い出して、なんだか照れ臭くなってしまった。
そうして考え付いたシンプルなメッセージを、一枚の紙に二人で書いた。

俺が書いた上半分は形の崩れた字、伊波が書いた下半分は丸みを帯びた字。
一字一句丁寧に書いたつもりなのに左半分がどうしても雑に見えるのは、それだけ自分の字が嫌いということなのかもしれない。