地味で根暗で電信柱な私だけど、あなたを信じていいですか?

「……この娘、タクシーで送るんだよね」

 私が尋ねると佐藤さんがうなずいた。

「はい。でも、ご覧の通りの有様で」
「確認するけど、抱き合ってたんじゃなくて抱きつかれていたんだよね?」
「俺、この前プロポーズしたばっかりですよ」
「ちゃんとはしてもらってません」
「あ、まあ、そうですけど。そういう気持ちだって……」

 情けない顔になった佐藤さんに少し罪悪感を覚える。事情は何となくわかってきたし、そろそろ勘弁してあげないといけないかな。

「とにかくこの子をどうにかしましょう」

 私は佐藤さんと二人がかりで女の子を下の階まで運びタクシーに放り込んだ。その間に何度か女の子に抱きつかれたりしたけれど……うん、顔は可愛いけど長野ちゃんのほうがこの娘より柔らかいしいい匂いがする。

 私なら長野ちゃんのほうがいいかなぁ。
 走り去るタクシーを見送りながら、私はそう思うのであった。