地味で根暗で電信柱な私だけど、あなたを信じていいですか?

 エレベーターホールには佐藤さんと女の子がいた。

 女の子は彼と腕を組みどうだと言わんばかりににやにやしている。その横の佐藤さんはかなりばつが悪そうだ。苦笑するその表情にはどこか迷惑そうな印象があった。

 ああ、そうか。

 私、もう迷惑な女だよね。

 けど、私は言ってやった。

「言い訳ならいらないから」

「いや、言い訳させてもらいますよ」

 佐藤さんが応え、半ば強引に女の子との腕組みを解く。なおも腕を組もうとする女の子だったが急にへなへなとその場に座り込んだ。

「あ、おい、またそんなところで」

 えへへーっと女の子がだらしなく返す。

 この娘もしかして酔っ払ってる?

 疑念が浮かんだとき佐藤さんが告げた。

「俺、ゆかりさんを裏切るようなことなんてしませんよ」
「じゃあ、その子は何?」

 私は女の子を睨みつけた。彼女は全く怯まずへらへらと笑っている。