地味で根暗で電信柱な私だけど、あなたを信じていいですか?

 女の子は床にぺたんと座り込んでおり、佐藤さんは片膝をついて彼女を抱いていた。

 二人とも抱き合ったまま動こうとしない。

 やがて気配を察したのか佐藤さんがこちらを向いた。少し遅れて女の子も倣う。

「あ」

 佐藤さんが短く漏らした。

 私は数秒彼と見つめ合うと自分から目を逸らした。問い詰めるよりもこの場にいたくない気持ちが勝って逃げるように走り去る。

 信じられなかった。

 自分が見たものが夢であってほしかった。

「ゆかりさん待って、これは……」

 佐藤さんの制止を無視して私は自分たちの部屋へと飛び込んだ。