地味で根暗で電信柱な私だけど、あなたを信じていいですか?

 とはいえ、ちょっと気になってきた。

 でも、仮に佐藤さんだったとしてもわざわざ隣の部屋まで確認をしに行くのはどうかと思う。彼だっていきなり私が現れたら迷惑に感じるかもしれない。

 あぁ、でも気になる。

 けど、迷惑な女にはなりたくないし。

 どっちつかずで悶々としているうちに何曲かが私の耳を通り過ぎた。私がやっと決心して立ち上がると長野ちゃんが「浮気の件、あんまり追い詰めるとかえって別れる原因になっちゃいますから気をつけてくださいねぇ」といらんことを言ってくる。

 それには応えず、私は部屋の外に出た。考え過ぎて少し目眩がしている。ただ廊下に出ただけなのに全く違う世界の空気を吸っているような気分になった。

「……」

 どこからか聞き覚えのある声が聞こえてきた。