地味で根暗で電信柱な私だけど、あなたを信じていいですか?

 カラオケボックスでは二次会に残った人たちで盛り上がった。

 部屋は三階の一番奥。結構広い。

 私より世代が上の人も混じっていたからか知らない昔の曲もあったけど、みんな楽しそうに歌っていた。

 私はというとあまり歌は得意ではない。

 しかし、回ってきた順番をパスすることもできずやや緊張しながらも耳慣れた曲を何とか歌い切った。うちのフロア主任がやたらと大きな声で合いの手を入れてきたけど、あれって歌の下手な私に気を遣ってくれたのかな?

 一仕事終えた気分でレモンサワーを飲みながら仕入課の主任さんが熱唱するハードロックを聴いているとトイレに行っていた長野ちゃんが血相を変えて戻ってきた。

「ゆ、ゆかりさん、大変ですぅ!」
「ん? どうかしたの?」

 すっかり酔いが醒めた様子の長野ちゃんが私の横の席に腰を下ろす。触れた腰から彼女の体温が伝わってきた。

「隣の部屋に佐藤さんがいますぅ」
「えっ」

 自分でも間抜けな声が出た。