地味で根暗で電信柱な私だけど、ちゃんと守ってくれますか?

 私はほっとしてその場にへなへなと座り込んでしまった。

 桜井くんからのひどい言葉や粗暴さによって過去の淡い想いを踏みにじられたような気がする。何だか情けないやら悔しいやらで気持ちが沈んだ。こんな思いをするのなら彼と再会なんてしたくなかった。

 こんな再会なんて嫌だ。

「……!」

 不意に温かな体温が私を包んだ。佐藤さんが身を屈めて私を抱き締めてくれたのだと気づくのに数秒かかる。

「一人にしてごめん。怖い思いをさせてごめん。でも、もう大丈夫だから」

 彼が耳元でささやく。耳心地の良い声がじんわりと染み込んでいくような気がした。彼への想いが沈んでいた気持ちを引き上げていく。

 あ、そういえば口調が変わってる。

 でも私はそれにつっこむことはせず、しばらくの間彼の温もりを感じていた。