地味で根暗で電信柱な私だけど、ちゃんと守ってくれますか?

「俺の彼女?」

 桜井くんが怪訝そうな目で佐藤さんを睨む。

 佐藤さんは余裕たっぷりに微笑みながら首肯した。でも私は見逃していない。短い時間だったけど佐藤さんのこめかみはピクピクしていた。

 これがマンガだったら佐藤さんのこめかみに怒りマークが付いていただろうし、身体から黒いオーラが漂っていたに違いない。

「とりあえずその手を離してもらえませんか」

 圧のある声。

 佐藤さんにこんな声が出せるんだ、と私は少しびっくりした。

「清川」

 桜井くんが聞いてくる。

「お前、こいつと付き合ってるのか?」
「う、うん」

 私はこくんとうなずいた。もしかしたら泣き出しそうな顔をしていたのかもしれない。

 ちっ、と舌打ちすると桜井くんは乱暴に私の腕を放した。

「彼氏持ちだったんなら先に言えよな!」

 そう言い捨てると、桜井くんは大股で去って行った。