「いいじゃねいか。高校のとき俺にラブレターをくれたことがあっただろ?」
「そ、そうだけど」
「あのころは電信柱みたいな女と付き合えるかって思ったけど、久しぶりに会ったら少しはましになっているじゃねえか。結婚指輪もしてねえみたいだし、どうせまだ独り身なんだろ? 一晩くらいなら相手になってやるぞ」
「なっ」
ひどい言われようである。
私は桜井くんの手を振り払おうとしたが彼の手はがっちりと私の腕を掴んでいてどうすることもできない。
抵抗しながら恐怖を覚えていた。このまま彼に連れて行かれたら……と思うと怖くて堪らなくなった。
助けて。
「あのー」
救いを求める私に応じるかのように爽やかな声が聞こえた。
「俺の彼女に何してるんですか?」

