魔界の華は夜に咲く

「俺は誰かを慰めた事がない。正直どうしたらいいのか分からない」


静かに放たれたその声にセンジュの心臓がまたぎゅっと掴まれた様に苦しくなる。


「フォルノス・・」


_フォルノスが優しい・・・。


見上げると、銀の瞳が光に揺れた。
宝石みたいに綺麗だ。


「ごめん。こんな事させて・・」

「謝るな」

センジュはフォルノスの胸に顔をくっつけた。
トクトクと脈打つ音が聞こえる。
今一緒に生きてると思うと安心出来た。


「悲しい時は・・抱きしめて・・欲しぃ・・かな」


恥ずかしくて最後までちゃんと言えなかったが、フォルノスには届いていた。


「この俺に甘える気か」

「いいい今だけっ!ですっ」

「それがお前の求めるものか」


口では馬鹿にしている素振りだったが、フォルノスは理解した様に頷いてセンジュ
を抱きしめた。
センジュは目を閉じて耳を澄ませた。
人の温もりを感じると安心する。
心臓の音を聞くと心地よくなる。



ーフォルノスの胸に顔を埋めてる。信じられない。でも、嬉しい。
なんか、とてつもなく嬉しい。



静かで穏やかな時間が流れた。