「お前の事は認めていないが・・」
「な、何それ！私だってフォルノスの事キライですけど」
「ああ、それでいい。だがお前の事をもう少し知ってもいいと思った」
＿でも、少しでもこの人が優しくなれるなら。私も・・キライとか言ってる場合じゃないんだよね。むしろ隠してるならもっと知りたい。
センジュは起き上がると叩いてしまったフォルノスの頬を見つめた。
そっと触ろうとしたが、フォルノスはその手を掴み取った。
「ええと・・叩いてごめんね。まだ痛む？」
「いや。もう平気だ」
痛みを覚えておきたいとフォルノスは思った。初めて自分の知らない何かを呼び起こした様な感覚だった。
今まで経験のない感情が次から次へと呼び起こされる感じがした。
「お前は危うい。その性格はつけ込まれ、すぐに命を落としかねない」
「え？そう、かな・・」
「この魔界では、お前の様な者はまず生き残れない。いたとしてもほぼ死滅してもういないだろう」
「ええ？そんな事ないでしょ」
「いや、いない。見た事がない」
真顔でこくりと頷かれた。
がくりと肩を落としたセンジュの指先をキュッと掴みなおした。
その手は温かい。
ドキン
ドキン
ドキン
センジュの心臓はずっと大きく脈打っている。
今までのフォルノスではあり得ない雰囲気なのだ。
何かが変わろうとしている。
「どうしたの？」
「お前が死ぬのは少し惜しい」
「パパの娘だからね」
「それもあるが・・」
「というかさっきまで私の事殺そうとしてたよね？」
「・・ああ。そうだ。だから危ういと言っている。他人に運を委ねて生きるお前はな」
腰を引き寄せられ、互いの鼻と鼻がつんと掠めた。
目の前には雪の様な綺麗な顔があった。
信じられない行動にセンジュの脳内はパンクしそうだ。
「なななｎなっ・・なに？」
「俺を選べ」
ドキン
「・・へ？」
まさかの発言に目を丸く見開いてしまった。
相対して顔色一つ変えず、フォルノスはいつも通りの無表情だ。
＿フォルノスが私のパートナー！？ちょっと全然想像できないんですけど！？てゆか顔近すぎて無理なんですけどっ。平常心たもてないんですけど！！ちゃんと見ると美形なんですけどっあああ！違うそうじゃなくて！
「わ、私じゃフォルノス怒らせてばっかりになっちゃうかも知れないしっ」
「嫌いな者同士だろうが、程度仕事ならこなせるだろう」
ぴたり。と一瞬にして空気が止まった。様に感じたセンジュだ。
「あ、ビジネスパートナーって事？仕事上の？？？」
「共にべリオルロス様に手を貸す存在になればいい」
「パパのお仕事の？」
「前にも言っただろうが。４人の中から色恋でパートナーを決めた場合、魔界の均衡が崩れる可能性は高い。だったら、俺が適任だろう。他の３人は俺ならと・・もしかしたら納得してすぐに終われる」
「あ・・そういう事・・」
「お前も長々と変な論争に巻き込まれたくないだろう」
ズキン
と、胸にさっきまでとは違う痛みが走った。
「で、でも・・」
「お前がこの魔界を壊す事だけは・・俺が許さない」
「そんな・・事言われたって・・」
＿フォルノスを選んで、形だけで終わらせろって事？魔界の為にはそれが一番てこと？それってつまり・・
「私・・誰も好きになっちゃいけないの？」
＿ママとパパみたいになれないってこと？
「ああ、まだまだガキだったな。お前の脳裏は・・」
「！」
諦められた言い方だった。挑発とも受け取れた。
＿なんだろ。すっごく・・ショックなのはなんでだろう・・。
フォルノスなりに忠告してくれているのはわかった。
もしも四大魔将同士で争う事になったら他の魔族達に示しがつかない。
魔王を失望させかねないし、怒りで魔界が滅びるかもしれない。
だから大人しく安全な位置に収まれとフォルノスは言っているのだと解釈した。
「ええと・・」
しかし胸がチクチクと痛みだす。
いばらに巻かれた様に苦しい。がんじがらめな感じがした。
首を絞められているわけでもないのに息が上手く出来なかった。
「フォルノスの言いたい事は・・わかった」
否定せず、センジュは頷いた。
それにはフォルノスも驚いていた。意外だと思ったのだろう。
反論してくると読んでいた。
「ちゃんと考える・・」
今にも涙が零れそうだったが、ぐっと堪えた。
眉をしかませながら。ここで泣いたら負けだと思った。
＿今日みたいに街で困ってる人を助けたいって思ってるのに。私がこんなんじゃ駄目だ。フォルノスの言う通り、私が感情的に動いたら誰かを苦しめてしまうかもしれない。幸と不幸で差が生まれてしまうのは嫌だ・・。
思いつめているセンジュを見てフォルノスはハッとした。
「お前、何か勘違い・・」
思わず勝手に動いたフォルノスの指を、すれすれでセンジュは避けた。
「もう行くね・・」
静かに出ていったセンジュを見送りながら、フォルノスは自分を咎めた。
心の奥で何かがじくじくと痛む。
＿らしくないな。この世界の為と思って言ってしまったが・・。何故か、さっきの顔が焼き付いて離れない。
絶望し感情を失った子供の様な顔だ。
やはり慣れないことをするものではないな。
何か後味の悪い。
嫌な感情だ。
こんな感情も初めてだ。
「な、何それ！私だってフォルノスの事キライですけど」
「ああ、それでいい。だがお前の事をもう少し知ってもいいと思った」
＿でも、少しでもこの人が優しくなれるなら。私も・・キライとか言ってる場合じゃないんだよね。むしろ隠してるならもっと知りたい。
センジュは起き上がると叩いてしまったフォルノスの頬を見つめた。
そっと触ろうとしたが、フォルノスはその手を掴み取った。
「ええと・・叩いてごめんね。まだ痛む？」
「いや。もう平気だ」
痛みを覚えておきたいとフォルノスは思った。初めて自分の知らない何かを呼び起こした様な感覚だった。
今まで経験のない感情が次から次へと呼び起こされる感じがした。
「お前は危うい。その性格はつけ込まれ、すぐに命を落としかねない」
「え？そう、かな・・」
「この魔界では、お前の様な者はまず生き残れない。いたとしてもほぼ死滅してもういないだろう」
「ええ？そんな事ないでしょ」
「いや、いない。見た事がない」
真顔でこくりと頷かれた。
がくりと肩を落としたセンジュの指先をキュッと掴みなおした。
その手は温かい。
ドキン
ドキン
ドキン
センジュの心臓はずっと大きく脈打っている。
今までのフォルノスではあり得ない雰囲気なのだ。
何かが変わろうとしている。
「どうしたの？」
「お前が死ぬのは少し惜しい」
「パパの娘だからね」
「それもあるが・・」
「というかさっきまで私の事殺そうとしてたよね？」
「・・ああ。そうだ。だから危ういと言っている。他人に運を委ねて生きるお前はな」
腰を引き寄せられ、互いの鼻と鼻がつんと掠めた。
目の前には雪の様な綺麗な顔があった。
信じられない行動にセンジュの脳内はパンクしそうだ。
「なななｎなっ・・なに？」
「俺を選べ」
ドキン
「・・へ？」
まさかの発言に目を丸く見開いてしまった。
相対して顔色一つ変えず、フォルノスはいつも通りの無表情だ。
＿フォルノスが私のパートナー！？ちょっと全然想像できないんですけど！？てゆか顔近すぎて無理なんですけどっ。平常心たもてないんですけど！！ちゃんと見ると美形なんですけどっあああ！違うそうじゃなくて！
「わ、私じゃフォルノス怒らせてばっかりになっちゃうかも知れないしっ」
「嫌いな者同士だろうが、程度仕事ならこなせるだろう」
ぴたり。と一瞬にして空気が止まった。様に感じたセンジュだ。
「あ、ビジネスパートナーって事？仕事上の？？？」
「共にべリオルロス様に手を貸す存在になればいい」
「パパのお仕事の？」
「前にも言っただろうが。４人の中から色恋でパートナーを決めた場合、魔界の均衡が崩れる可能性は高い。だったら、俺が適任だろう。他の３人は俺ならと・・もしかしたら納得してすぐに終われる」
「あ・・そういう事・・」
「お前も長々と変な論争に巻き込まれたくないだろう」
ズキン
と、胸にさっきまでとは違う痛みが走った。
「で、でも・・」
「お前がこの魔界を壊す事だけは・・俺が許さない」
「そんな・・事言われたって・・」
＿フォルノスを選んで、形だけで終わらせろって事？魔界の為にはそれが一番てこと？それってつまり・・
「私・・誰も好きになっちゃいけないの？」
＿ママとパパみたいになれないってこと？
「ああ、まだまだガキだったな。お前の脳裏は・・」
「！」
諦められた言い方だった。挑発とも受け取れた。
＿なんだろ。すっごく・・ショックなのはなんでだろう・・。
フォルノスなりに忠告してくれているのはわかった。
もしも四大魔将同士で争う事になったら他の魔族達に示しがつかない。
魔王を失望させかねないし、怒りで魔界が滅びるかもしれない。
だから大人しく安全な位置に収まれとフォルノスは言っているのだと解釈した。
「ええと・・」
しかし胸がチクチクと痛みだす。
いばらに巻かれた様に苦しい。がんじがらめな感じがした。
首を絞められているわけでもないのに息が上手く出来なかった。
「フォルノスの言いたい事は・・わかった」
否定せず、センジュは頷いた。
それにはフォルノスも驚いていた。意外だと思ったのだろう。
反論してくると読んでいた。
「ちゃんと考える・・」
今にも涙が零れそうだったが、ぐっと堪えた。
眉をしかませながら。ここで泣いたら負けだと思った。
＿今日みたいに街で困ってる人を助けたいって思ってるのに。私がこんなんじゃ駄目だ。フォルノスの言う通り、私が感情的に動いたら誰かを苦しめてしまうかもしれない。幸と不幸で差が生まれてしまうのは嫌だ・・。
思いつめているセンジュを見てフォルノスはハッとした。
「お前、何か勘違い・・」
思わず勝手に動いたフォルノスの指を、すれすれでセンジュは避けた。
「もう行くね・・」
静かに出ていったセンジュを見送りながら、フォルノスは自分を咎めた。
心の奥で何かがじくじくと痛む。
＿らしくないな。この世界の為と思って言ってしまったが・・。何故か、さっきの顔が焼き付いて離れない。
絶望し感情を失った子供の様な顔だ。
やはり慣れないことをするものではないな。
何か後味の悪い。
嫌な感情だ。
こんな感情も初めてだ。
