魔王城の紋章が光る馬車に乗り、2人は城下街へと向かった。
馬車から降り見渡すと、にぎやかな商店街が目の前に広がっていた。
露店も沢山並んでいる。今日は昨日よりも人が多く賑わっている。
「街には昨日来たんだろ?」
「うん。アルヴァンさんが案内してくれたよ」
「アルヴァンか。あいつも災難だったな」
「・・うん」
_つい、昨日の事・・なんだよね。あの後アルヴァンさんに会ってないけど・・大丈夫なのかな。今頃どうしてるんだろう・・。
心配そうに俯いたセンジュの肩に手をそっと置いた。
「そんな気に病むなよ。あいつだって誰もが認める四大魔将なんだから。もう気持ち切り替えて仕事してたし」
「・・・うん」
一気に妻と愛娘を失くして平気なハズはないだろう。
しかしずっと塞ぎこんでいる様な者ではないという事をセヴィオはわかっている。
アルヴァンは自分よりもずっと大人だという事も。
「ま、これだけ立て続けに事件が続くと嫌になるな」
「そうだね」
「俺の領土の小競り合いから始まって、フォルノスの毒殺まで。間違いなく裏のヤツらが動いてるだろうな」
「うん」
「でも俺達だって指くわえて見てるだけじゃないから。しっかりと終わらせてやる。安心して」
_ちょっと会わない日が続いただけなのに、なんだかセヴィオが頼もしく見える。私がこんな気持ちだからそう見えるのかな・・。
じっとセヴィオを眺めていると、セヴィオは不思議そうに首を傾げた。
「どした?」
「あ、ううん」
恥ずかしくなりセンジュが目を背けた矢先の出来事だった。
建物の隙間から3人程若い魔族が出てきてセンジュとセヴィオの前に立ちはだかった。
「おーーーっと」
「あら」
「おお?」
セヴィオと同じくらいの年齢の少年たちだ。
危うくぶつかりそうになった。
お互いに睨みを利かせている。
_何!?喧嘩が始まりそうな雰囲気なんだけど!?まだ城下街に着いてから5分も経ってないのに。本当に物騒・・。
セヴィオと3人の睨み合いにセンジュの身体に緊張が走る。
「・・・」
「・・・」
ジッと睨み合って暫く動かなかったが、耐えられなくなったのは3人の方だった。
突然笑い出したのだ。
「クク、ハハ・・ハハハ!悪い悪いっ」
「ああ、驚いたな」
「久しぶり!セヴィオー!!」
「元気そうじゃーん」
どうやら睨み合いは冗談だったらしい。
3人はセヴィオを囲んで嬉しそうにしている。
センジュは怯えつつもキョトンと目を丸くするしかなかった。
セヴィオはすぐに輪の中にセンジュを入れた。
「こいつらは俺のガッコー時代のトモダチ。暫く会ってなかったけど」
「セヴィオが四大魔将様に選ばれちまったからな。逢えなくなったのはセヴィオのせいだろ」
「しょうがないだろ。天才なんだから」
「自分で言うんじゃねえよ」
金髪の少年とセヴィオは楽しそうに笑った。
「てかそのコ、まさかセヴィオの彼女ー?」
ドキン
「え・・えっと・・ええと」
_なんて言ったらいいの!?
慌てふためいているとセヴィオがセンジュの頭をぽんと撫でた。
「そうだよ」
「え・・」
_ちょ、セヴィオさん!?どゆこと!?それはちょっと誤解が・・。
「へえ!珍しいなー。お前女に興味あったのかよ」
「どういう意味だ」
「学校にいた時は真面目ぶって女と遊ぶの嫌がってたじゃん」
「ちがう。タイプが居なかっただけ」
金髪の少年は吟味する様にセンジュを上から下まで確認した。
「じゃこの子はタイプってワケ?あ、俺はゼンていうんだ。セヴィオとはガキの頃からの腐れ縁」
「・・センジュです」
「センジュね。変わった名前・・てか、耳長くないな。人間とのハーフ?」
「あ、いえ・・ええと」
と口を開こうとした瞬間セヴィオに遮られた。
「こいつ捨て子だったらしいんだよ。あんまり詮索するな、可哀そうだから」
_はい!?突然の捨て子設定!?
無茶ぶりに冷や汗が噴き出そうになるセンジュだ。
「え、そうだったか。悪かったな。まあ魔界に居るって事は魔族なんだろ?よろしくな」
「あ・・はい」
「つか、顔可愛いしさ。セヴィオじゃなくて俺でもよくない?今から乗り換えない?」
「てめ、ふざけんなゼン!」
「ハハ、ムキになってるっつーことはマジなんだな~ウケる」
傍から見たら少年たちがじゃれ合っている様にしか見えない。
周りにいた大人達は気にも留めていない様だった。
センジュが魔王の娘だという事は一般魔族には秘密だ。
裏四大魔将の存在がある限り、センジュに危険が及ぶ可能性が上がるからだ。
例え昔からの友人だろうと安易に教えられることではない。
「つーかさ、今デート中なわけ?」
「あ?そうだよ」
「ええー!ここで会ったのも縁だし、久しぶりに話さねえ?ちょっとでいいからさ」
「はあ?」
「もう二度と会えないかもしれねえだろ~」
セヴィオは迷った。
2年程前までは毎日の様に苦楽を共にしてきた仲間との再会だ。積もる話はある。
しかし、今はセンジュの護衛の途中だ。
ちらりとセンジュの顔を覗くと、センジュはコクリと頷いた。
「久しぶりなら、いいんじゃない?折角なんだし」
「いいのかよ?」
「うん、それにセヴィオの事も教えてもらえそうだし」
「うっしゃ!ノリいいね!センジュ!」
一番喜んでいるのはやはりゼンだった。
「仕方ねえな。ま、お前らだったらいいか。ちょっとだけだからな」
「やった~!おごってくれよ四大魔将様~」
「おい。まさかそれが目当てじゃねえだろうな」
「やった~!行こうぜセヴィオ!」
他の2人、コーマとクロウも跳ね上がって喜んでいる。
センジュにとってその光景は微笑ましかった。
まるで自分の通っていた学校のクラスメイトを思い出させる状況だったからだ。
「楽しそうでいいね」
「まあ、な」
少し照れくさそうにしながらセヴィオは素直に喜んだ。
信頼していた友達との再会は純粋に嬉しかった。
馬車から降り見渡すと、にぎやかな商店街が目の前に広がっていた。
露店も沢山並んでいる。今日は昨日よりも人が多く賑わっている。
「街には昨日来たんだろ?」
「うん。アルヴァンさんが案内してくれたよ」
「アルヴァンか。あいつも災難だったな」
「・・うん」
_つい、昨日の事・・なんだよね。あの後アルヴァンさんに会ってないけど・・大丈夫なのかな。今頃どうしてるんだろう・・。
心配そうに俯いたセンジュの肩に手をそっと置いた。
「そんな気に病むなよ。あいつだって誰もが認める四大魔将なんだから。もう気持ち切り替えて仕事してたし」
「・・・うん」
一気に妻と愛娘を失くして平気なハズはないだろう。
しかしずっと塞ぎこんでいる様な者ではないという事をセヴィオはわかっている。
アルヴァンは自分よりもずっと大人だという事も。
「ま、これだけ立て続けに事件が続くと嫌になるな」
「そうだね」
「俺の領土の小競り合いから始まって、フォルノスの毒殺まで。間違いなく裏のヤツらが動いてるだろうな」
「うん」
「でも俺達だって指くわえて見てるだけじゃないから。しっかりと終わらせてやる。安心して」
_ちょっと会わない日が続いただけなのに、なんだかセヴィオが頼もしく見える。私がこんな気持ちだからそう見えるのかな・・。
じっとセヴィオを眺めていると、セヴィオは不思議そうに首を傾げた。
「どした?」
「あ、ううん」
恥ずかしくなりセンジュが目を背けた矢先の出来事だった。
建物の隙間から3人程若い魔族が出てきてセンジュとセヴィオの前に立ちはだかった。
「おーーーっと」
「あら」
「おお?」
セヴィオと同じくらいの年齢の少年たちだ。
危うくぶつかりそうになった。
お互いに睨みを利かせている。
_何!?喧嘩が始まりそうな雰囲気なんだけど!?まだ城下街に着いてから5分も経ってないのに。本当に物騒・・。
セヴィオと3人の睨み合いにセンジュの身体に緊張が走る。
「・・・」
「・・・」
ジッと睨み合って暫く動かなかったが、耐えられなくなったのは3人の方だった。
突然笑い出したのだ。
「クク、ハハ・・ハハハ!悪い悪いっ」
「ああ、驚いたな」
「久しぶり!セヴィオー!!」
「元気そうじゃーん」
どうやら睨み合いは冗談だったらしい。
3人はセヴィオを囲んで嬉しそうにしている。
センジュは怯えつつもキョトンと目を丸くするしかなかった。
セヴィオはすぐに輪の中にセンジュを入れた。
「こいつらは俺のガッコー時代のトモダチ。暫く会ってなかったけど」
「セヴィオが四大魔将様に選ばれちまったからな。逢えなくなったのはセヴィオのせいだろ」
「しょうがないだろ。天才なんだから」
「自分で言うんじゃねえよ」
金髪の少年とセヴィオは楽しそうに笑った。
「てかそのコ、まさかセヴィオの彼女ー?」
ドキン
「え・・えっと・・ええと」
_なんて言ったらいいの!?
慌てふためいているとセヴィオがセンジュの頭をぽんと撫でた。
「そうだよ」
「え・・」
_ちょ、セヴィオさん!?どゆこと!?それはちょっと誤解が・・。
「へえ!珍しいなー。お前女に興味あったのかよ」
「どういう意味だ」
「学校にいた時は真面目ぶって女と遊ぶの嫌がってたじゃん」
「ちがう。タイプが居なかっただけ」
金髪の少年は吟味する様にセンジュを上から下まで確認した。
「じゃこの子はタイプってワケ?あ、俺はゼンていうんだ。セヴィオとはガキの頃からの腐れ縁」
「・・センジュです」
「センジュね。変わった名前・・てか、耳長くないな。人間とのハーフ?」
「あ、いえ・・ええと」
と口を開こうとした瞬間セヴィオに遮られた。
「こいつ捨て子だったらしいんだよ。あんまり詮索するな、可哀そうだから」
_はい!?突然の捨て子設定!?
無茶ぶりに冷や汗が噴き出そうになるセンジュだ。
「え、そうだったか。悪かったな。まあ魔界に居るって事は魔族なんだろ?よろしくな」
「あ・・はい」
「つか、顔可愛いしさ。セヴィオじゃなくて俺でもよくない?今から乗り換えない?」
「てめ、ふざけんなゼン!」
「ハハ、ムキになってるっつーことはマジなんだな~ウケる」
傍から見たら少年たちがじゃれ合っている様にしか見えない。
周りにいた大人達は気にも留めていない様だった。
センジュが魔王の娘だという事は一般魔族には秘密だ。
裏四大魔将の存在がある限り、センジュに危険が及ぶ可能性が上がるからだ。
例え昔からの友人だろうと安易に教えられることではない。
「つーかさ、今デート中なわけ?」
「あ?そうだよ」
「ええー!ここで会ったのも縁だし、久しぶりに話さねえ?ちょっとでいいからさ」
「はあ?」
「もう二度と会えないかもしれねえだろ~」
セヴィオは迷った。
2年程前までは毎日の様に苦楽を共にしてきた仲間との再会だ。積もる話はある。
しかし、今はセンジュの護衛の途中だ。
ちらりとセンジュの顔を覗くと、センジュはコクリと頷いた。
「久しぶりなら、いいんじゃない?折角なんだし」
「いいのかよ?」
「うん、それにセヴィオの事も教えてもらえそうだし」
「うっしゃ!ノリいいね!センジュ!」
一番喜んでいるのはやはりゼンだった。
「仕方ねえな。ま、お前らだったらいいか。ちょっとだけだからな」
「やった~!おごってくれよ四大魔将様~」
「おい。まさかそれが目当てじゃねえだろうな」
「やった~!行こうぜセヴィオ!」
他の2人、コーマとクロウも跳ね上がって喜んでいる。
センジュにとってその光景は微笑ましかった。
まるで自分の通っていた学校のクラスメイトを思い出させる状況だったからだ。
「楽しそうでいいね」
「まあ、な」
少し照れくさそうにしながらセヴィオは素直に喜んだ。
信頼していた友達との再会は純粋に嬉しかった。


