魔界の華は夜に咲く

次の日になった。

「失礼いたします、朝食のご用意が出来ました」


と、いつも通り侍女のリアが朝食を持ってきてくれた。

「よく眠れましたか？」


センジュのぼーっとした顔を見て眉を困らせた。


「あ、はい」


と口では言ったが、実は一睡もしていなかった。
どうしても昨夜の出来事が頭から離れなかった。


＿色々ありすぎてなんか脳がぼーっとする・・。


「はぁ・・」

と無意識に深いため息をつくと、リアの眉は更にハの字になった。
とても心配してくれている。

「お疲れの様ですね。体調はいかがです？」

「平気です。昨日はちょっと色々あってついて行けなくて」

「さようでございましたか。慣れない生活が始まったばかりですものね。今日もフォルノス様と訓練がこの後ございますし」

「ぶっ・・あ・・そうなんですね」

思わずミルクを吹き零しそうになってしまった。


＿ああ、憂鬱だ。行きたくないなぁ。昨日のアレは衝撃的だった・・。


あれから毛布に包まった後、正義感にあふれ女性に対して酷いというフォルノスを今後止めようと決意したが、実際はどうすればいいのか雲をつかむような感覚だった。未経験すぎる。


「しっかり食べて、鋭気を養ってくださいませ」

「あ、はい・・」


リアに励まされ、はいと返事せざるを得なかった。