奥手な二人の両片思い

勉強すること、30分が経過。

登校してくる生徒が見え、教室にクラスメイト達の姿が増えてきた。


にも関わらず、上川くんは気にも留めない様子で公式を教えている。


数学の先生には申し訳ないけど……上川くんの教え方のほうがわかりやすい。

さっきから問題に赤い丸がどんどん増えてるんだもん。


チャイムが鳴り、放課後もまた集まることに。

朝のホームルームが終わると、夏穂ちゃんが少し興奮気味で駆け寄ってきた。



「菫ちゃん! 上川と勉強してるの?」

「うん。私が教えてもらっているだけだけどね」

「上川数学得意だもんね~。さすが理系!」



実はこの前の期末テストの後、約束してた通り、2人で遊びに行って。

その時に、上川くんに片思いしていることと、一緒に水族館に行くことになったと打ち明けたんだ。



「お、良かったね! 上川くんも喜んでると思うよ!」

「そうだといいな」



二人で楽しく話していると、塩野くんも加入。

彼にも、時々男心について相談している。


先週、勉強で悩んでいる時に、『男は頼られたい生き物だから、どんどん頼っていいんだよ!』と励ましてくれて。

それでさっき、勇気を出して頼んでみた。

すごくテンション高かったし、もしかして本当に嬉しかったのかな?