奥手な二人の両片思い

清花のところに向かうと、今度はピンクのパーカーが目に入ってきた。



「このパーカー可愛いなぁ」

「似合いそう、試着してきなよ」

「行ってくる♪」



勧められたので、試着してみることに。


おおお……! ゴツく見えない!

生地もそこまで薄くないし、いい感じに骨格をカバーできている!



「これ買おーっと!」



パーカーを着たまま試着室を出ると、清花が白いレースワンピースを手に取って見ていた。



「どう? って、その服可愛い!」

「似合うね。それにデニム合わせると良さそう」



褒められて顔がニヤける。



「えへへ、ありがとう。それ買うの?」

「あー……似合うかな?」

「可愛いと思うよ! ほら!」



鏡の前で服を当てた清花。

うわぁ、めちゃめちゃ可愛い!
知的で上品な清花のイメージにピッタリ!

きっと私が着たら、ビリビリビリッ! って裂けちゃうよねぇ……。


切ない思いを抱えたままレジに向かい、ピンクのパーカーを購入した。





一通り歩き回り、ベンチに座って休憩。

さっきジュース飲みすぎたからかな。トイレに行きたい。



「私トイレ行ってくる」

「一人で平気?」

「大丈夫だよ! すぐ戻るから!」



心配する清花と荷物を置いて、ダッシュでトイレに。

人が多いから混んでるかなと思ってたけど、わりと早めに済ませることができた。



「えーっと……」



どうしよう。
あまりこの店来ないから、どこから来たか忘れちゃった……。



「そうだ! スマホで……」



あ……スマホ、バッグの中だった。