欠席の連絡をして寝ていると、枕元に置いたスマホが振動し始めた。

薄目を開けて手を伸ばし、スマホを耳に当てる。



「もしもし……?」

「詩恩! 熱が出たって聞いたけど……」

「あぁ……うん」



ボーッとする頭で健に説明。
授業ノートを取ってもらうよう頼んだ。

今日和訳当たってたのに……先生ごめん。



「今日お兄さんは帰ってくるの?」

「いや、今月忙しいから帰るの難しそうって」



中学の頃は兄に頼りっぱなしだったため、高校生になってからはあまり負担をかけないよう、体調を崩しても1人でやり過ごしている。

変に心配されて、学校やバイトに支障が出たら嫌だからさ。



「……俺、見舞いに行くよ」

「いいって。寝てたら治るから」

「いや行く! 詩恩、色白だから消えてなくならないか心配だもん! 生存確認しに行くから!」

「……わかった」




──ピーンポーン。


インターホンの音で目を覚ました。
時計を見ると、既に学校が終わった時間を過ぎていた。

もうそんな時間か。



「……はい」

「詩恩、来たよ!」

「……今開ける」



モニターに返事をし、フラつきながら玄関へ。



「具合はどう?」

「…………」

「詩恩……? おーい、聞こえてる?」



口を開こうとした瞬間、突然意識が飛んで、目の前が真っ暗になった。