「あ、王子って冬川くんのことだったんだ。これから一緒にプラネタリウムに行こうと思ってね」



と、王子に笑いかけた先生。

無表情だからってのもあると思うけど、数時間前に見た優しい顔とは違って、少し目つきが冷たい気がする。

っていうか、プラネタリウムに行くくらい仲良しなの⁉

まぁ、年近いし、共通の趣味を持ってるとか、好きな物が同じ可能性はあるけどさ。
一緒に出かけるってかなり深い関係じゃない⁉



「先生、もう行かないと。プラネタリウム始まっちゃいます」

「あ、そうだね。そろそろ行こうか。じゃあね北松さん」

「あぁ、待ってください! お、お名前を! 教えてくださいませんか⁉」



車に乗ろうとする彼の腕を掴んで引き止めた。

せっかく会えたんだ。このチャンスを無駄にしたくない。


不機嫌丸出しの顔をじっと見つめる。



「……冬川ですけど。っていうか、そういう自分は名乗らないんですか?」

「あっ、すみません! 北松明莉です!  2年3組です!」



鋭く指摘され、慌てて名乗った。

冬川くん。
そういえば、さっき先生もそう呼んでたっけ。



「おーい、そろそろ行くよー」

「じゃ」

「待って! し、下の名前は……?」

「…………詩恩。2の2。じゃあね」