「うわっ! 今日は降らないって言ってたのに!」

「走るぞ!」



強くなっていく雨に打たれながらバス停まで走った。

もー! せっかく髪の毛キメてきたのにー!


ハンカチを取り出して顔と体を拭いていると、肩にふわっとした感触が。



「えっ……どうしたの?」

「透けてる。早く着て」



胸元を見ると、雨で濡れたTシャツに白い下着がくっきり透けていた。

急いで肩にかかっているシャツに袖を通す。



「……ありがとう」

「ん」

「……ごめん、私のせいで寒いよね」

「……少しね」



バスを待つ間、詩恩が震えているのに気づいた。

私が上着を奪ってしまったからか、腕に鳥肌が立っている。


ハンカチ……は、さっき使ったからびしょびしょになってるし……。



「何。温めてるの?」

「だってこれくらいしかできないから……」



鳥肌が立っている腕をそっと抱きしめた。



「白の服に白の下着は以外と透けるから気をつけろよ」

「……うん」



ギュッと唇を噛んで俯く。

恥ずかしい。そして申し訳ない。

バスに乗った後も顔を上げることができなかった。