トイレに入り、パッドを取って蓋が閉まった便器の上に腰かけた。


もー! どうしてこんなに上手くいかないの⁉
いっそのこと、作戦練らないほうがいいのかな……。


しばらく考えて、トイレを出て詩恩の元へ。



「遅くなってごめん」

「うん。やっぱりそっちのほうがしっくりくる」



こいつ……さっきから全然表情が変わってない。

年頃の男子なら照れるところなのに、照れの「て」の文字もない。



「詩恩はこういう……セクシー系も嫌いなの?」

「いや。下品なのが嫌なだけ。見た目も大事かもしれないけど、中身も伴ってないと魅力的とは思えないんだよ」

「……魅力的って思うのはどんな人?」



隣に座り、答えを聞き出す。



「自分を大切にしてる人かな。そういう人って表情がイキイキしてるし、輝いて見える」

「星みたいに?」

「まぁね」



得意気な顔に上がった口角。
ハハッ、詩恩らしい答えだ。



「私は? 輝いてる?」

「うん。眩しすぎてチカチカするから、もう少し抑えてほしいかな」

「……それって、もう少し静かにしてってこと?」

「その通り」