気づかなかった……!

じゃあ、私が先輩にドキドキしてる姿も見られたってことよね⁉

恥ずかしいぃぃ。



「詩恩こそ! メロンパンとクリームパン頼むって可愛い子ぶってるの?」

「なんでだよ。何頼んだっていいだろ。メロンパンとクリームパンが好きな人はみんな可愛い子ぶってるっていうのか?」



やつ当たりするように口を開くと、いつもの冷たい口調で言い返された。



「違うよ! メロンパンとクリームパンって可愛い子が好きそうだなってだけで……」

「とんだ偏見だな。可愛い子でも明莉みたいに肉好きな人だっているのに」

「ちょっと、私を例えに出さないでよ!」



即座に反論したものの、誤解を招いてしまった様子。

別に偏見持ってるわけじゃないのにぃ。



「あーあ。黒瀬先輩、可愛い子が好んでそうな甘い物が大好物なのに。可哀想」

「ええっ! なんでそんなに知ってるの⁉」

「友達の先輩だから」



得意気に言い切った詩恩。


友達の先輩? 友達って水沢くんのこと?

思い返せば、めっちゃ仲良さそうだったし。同じ中学の人なのかな?