人気のない階段に移動して話を切り出し、声を震わせながら上目遣いで見つめた。



「あー……言ってなかったっけ。明莉の押しが強いから、呑まれないようにしてるだけだよ」

「そう……ごめんね。私、そんなに強かった……?」



作戦その③「俺が守ってあげなきゃ作戦!」

いつもは強気で言い返しているところをグッと我慢して、か弱い口調で返す作戦だ!



「ちょっ、いきなりどうしたんだよ」

「ごめん……」



おぉっ! いいぞいいぞ!
いい感じで心配してくれている!

この調子なら私のペースに持っていけそうだ!



「大丈夫? 勉強のしすぎで頭おかしくなった?」



手応えを感じていると、頭の上にポンと手が置かれて、彼の綺麗な顔が近づいてきた。

心配してるのかバカにしてるのかどっちなんだよと言いたいところだけど、我慢我慢。



「もうしつこくしないから冷たくしないで……?」



1度目を伏せて役に入り込む。


頑張れ明莉! 涙を……涙を流すんだ!
私は女優、私は女優。

さぁ、涙よ出てこい! 出てくるんだ……!



「……本当にもうしつこくしない?」

「うん」

「もう大声でギャーギャー騒がない?」

「うん」

「ちゃんと時間守ってくれる?」

「うん」

「…………ありがとう」