指摘されて頭を触ると、さっきまで付けていたヘアピンがない。



「あれ⁉ どこいったの⁉」

「さっきの人混みで外れたんじゃない?」

「捜してくる!」



校舎へ入る生徒達とすれ違うように来た道を戻る。

嘘でしょー⁉ あれお気に入りなのにー!
もう! 新学期早々こんなにバタバタするなんてー!



「お願いだから出てきて……」



階段、渡り廊下、体育館の入口付近。

くまなく捜したけど、いっこうに見つからず。


そこまで大きくはないけど、星が付いてて金色だからすぐ見つかると思ったのに……。

どうしよう、もうすぐホームルームが始まっちゃう。



「また後で捜すか……」



一旦諦めて教室に戻ろうとしたその時だった。



「あの、すみません」

「はい?」



肩を落としたまま振り向くと。


うわぁ……超綺麗。

雪のような白い肌に長いまつ毛が特徴的な、背が高めの華奢な男の子。

中性的な顔立ちで、かっこいいと言うより美しいという言葉が似合う。


「もしかして、これ捜してますか?」

「あっ……!」



美しさにうっとりしていると、彼の手にずっと捜し求めていた物が。



「はっはい! そうです! ありがとうございます!」