あぁ恥ずかしい……!
入ってきた時、みんな私のこと見てた!

はぁ、こんな遅刻寸前のボロボロな姿をみんなの前で晒してしまうなんて……。

しかもはじめましての人もいるのに。

さっきので、北松明莉はだらしない人って印象づいちゃったかな。



チャイムが鳴り、体育館に移動。

ブラシとピンをブレザーのポケットに忍ばせ、急いで髪の毛を整える。

始業式をボサボサ頭で迎えるのはちょっと失礼な気がするからね。


全体的にざっくりとかして、こめかみ辺りにヘアピンを装着。
ギリギリだったけど、なんとか間に合った。





「ねぇ! 今日はどうだった?」

「修了式の時より30秒短かった!」



式が終わり、千夏と一緒に体育館を出る。

彼女は朝礼や式などで、毎回校長先生の話の長さを計るという、変な趣味を持っている。


ちなみに最短記録は、去年の1学期終業式の57秒。
まともに話を聞いたのは入学式くらいらしい。

退屈なのはわかるけど、始業式なんだから少しは聞いてあげなよ。


心の中でツッコミを入れ、生徒達の波に呑まれながら外へ。



「今日教科書もらうよね! ちょっと楽しみ!」

「だよね! って……あれ? ヘアピンどうした?」

「へ?」