否定したのが逆効果だったようで、詩恩は私の腰に腕を回し、さらに距離を縮めてきた。



「まだ疲れが取れないなら……もっと甘くして癒してあげようか」

「わっ……」



首元に顔が近づく。

甘々姿が見てみたいとは思っていたけれど……。



「フフッ……可愛い」



これは刺激が強すぎるよぉぉーー‼



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「し、しおっ、首は……ダメ、だよぉ……」


「…………光野さん、一発背中叩いてやってくれない?」

「えっ、いいの?」

「そろそろ現実に引き戻してあげないと可哀想でしょ?」



机に突っ伏して寝言を呟く明莉を真顔で見る。



「詩恩くんってば冷た~い。せっかく自分の夢見てくれてるのにぃ~。嬉しくないの?」

「嬉しくない。お願い光野さん、俺だと力加減がわからないから早く起こしてあげて」

「わ、わかった……」



トイレに行っている間に爆睡したかと思えば。

これ以上こんな恥ずかしい寝言を聞いてられるか。


光野さんに背中を叩かれて目を覚まし、現実に引き戻された明莉は、目をまん丸にしてキョロキョロし始めた。


うわぁ、ものすごく残念そうな顔。

まったく……次のデートは手を繋いであげますか。