子どもっぽい純粋な眼差しで口を開いた詩恩は、椅子と一緒に私の左隣にやって来た。



「息抜きって? 何かお菓子持ってきたの?」

「ううん。お菓子よりももっと甘いのだよ」



もっと甘い物?
うーん……砂糖ぐらいしか思いつかないや。



「何?」



尋ねると、詩恩は満面の笑みで大きく両腕を広げて……。



「ギューしよう?」



と、可愛く首を傾げた。




「ギュ、ギュー……⁉」

「うん♡ こっち来て?」



い、い、い、一体何が起こっているんだ⁉

語尾にハートがついてるんだけど……⁉
なんか怖いぃぃぃ‼



「ねぇ、早くぅ~」



口を尖らせる詩恩。


ひぃぃぃ! 鳥肌が立ってきたぁぁぁ!
まさか、変な物か腐った物でも食べたの⁉

それとも、勉強のしすぎで性格がバグっちゃった⁉



「何か変な物でも食べた……?」

「酷いなぁ! 食べてない!」



ムスッとした顔で言い放った彼は、横から私をギュッと抱きしめた。



「あっ、ちょっ……と」

「温か~い。体温高いって言ってたもんね」



ひゃぁぁぁ! 左耳に吐息が……!
くすぐったい……!