だがしかし……。



「行かない。冬休みは家族と過ごすから遊びに行く時間ないし」



淡々と早口で言い返された。

くっ、そぉぉぉぉ!



「はいはいわかりました! クラスメイトと行きますぅー!」



親友の頼みを断るなんてぇぇ。

……でもまぁ、毎日会ってる私よりも、時々帰ってくる家族を優先するよね。仕方ないか。


ガクンと肩を落とし、帰ろうと背中を向けると、後ろから腕を掴まれた。



「クラスメイトの誰だよ」

「誰かは決まってないけど……」



お? これはもしかして、やきもちを妬いているのか?

表情は変わってないけど、若干声のトーンが低いぞ⁉



「もしかして寂しい? 今ならまだ引き返せるよ?」



あの詩恩がやきもちを妬いているのかと思うと、もうニヤニヤが止まらない。

私、今絶対気持ち悪い顔してるな。



「もしかしてやきも……」

「妬いてません。明莉の弾丸トークでクラスメイトがぐったりしたら気の毒だから行くよ」



まだ全部言ってないのに、かぶせるように否定してきたな。

詩恩は顔に感情があまり出ないから、本当に妬いているのか照れているのかもわからない。


1度でいいから、真っ赤にして焦っているところを見てみたいなぁ。