「私からの感謝の気持ちです」

「……ありがとう。懐かしいな、これ食べてた時、明莉はカツサンド食べてたよね」

「まだ覚えてたの⁉」

「俺のメロンパンとクリームパンよりも、カツサンドのインパクトが強すぎたからね」



いつもの腹黒い笑みを浮かべた詩恩。
すると、クリームパンを半分に割って差し出してきた。



「あげる。食べてないんでしょ?」

「えっでも……」



グゥゥゥ……。



「ほら、腹の虫が鳴いてるぞ」

「……いただきます」



恥ずかしいぃぃ。
体育館でもパン食べてたし、食いしん坊って思われたよぉぉ。



「今更恥ずかしがってるの?食い意地張ってるのはお泊まり会で見たから、別に気にしなくてもいいのに」



詩恩は気にしなくても、私は気にするんだよ!

心の中で反論しながらパンを噛んでいると。



「クリームついてる」

「……!」



片手で器用にポケットからティッシュを取り出し、私の口元を拭った。

わわっ、なんかこれ、カップルっぽくない⁉



「……今変なこと考えただろ」

「へ⁉ いや、別に何も?」

「嘘つけ。顔に書いてあるぞ」



久しぶりに冷たい目で睨まれた。

やっぱり私は嘘をつくのが下手なようだ。