「だ、だってみんなの前でこんなこと……っ。噂になっちゃうよ……?」

「なにを今更。既に先週から、雪の妖精がライオン女に追われてたって噂になってんだよ」



えっ、先週から⁉ 全然知らなかった……。

って! 問題はそこじゃない!



「ライオン女⁉ 聞き間違えじゃない⁉ どちらかっていったら私、『ハムスターに似てる』ってよく言われるんだよ⁉」

「可愛い子ぶるなよ。こんなうるさいハムスターがどこにいるんだよ」

「それならせめて、『元気なハムスター』って言ってよ!」

「はいはい。『元気すぎて暑苦しいハムスターちゃん』」

「暑苦しいは余計だよ!」



なにこいつーー‼ 意地悪すぎない⁉

「ライオン女に追われてた」って、絶対嘘に決まってる‼



「あのー……お取り込み中すみません」



口論していたら、以前図書室で見た女の先輩らしき人が声をかけてきた。

うわぁ、なんて綺麗なお姉さん……!
髪の毛サラサラだし、背は高いし。
それに頭も良さそう。

見惚れてうっとりしていると。



「冬川くん、これ、この前椅子の下に落ちてたよ」

「あ! ありがとうございます! ずっと捜してたんですよ〜」