ライオン少女は宇宙系男子を落としたい

「正直に言え。誰に聞いた」

「私の嘘を見抜くとは……さっすが詩恩! 話は雄基くんから聞いたよ。『俺も両親も行けないから、その日空いてるんなら行ってくれないか?』って言われたから来た」



兄さんめ……! 余計なことを……!



「なら前もって教えろよ」

「ごめんごめん! ビックリさせようと思ったの♡」

「黙ってるほうが腹立つんだけど」



呑気な彼女に冷たく当たると、苦笑いでこちらを見ている明莉と目が合った。

ダメだ。
これ以上彩葉のペースに呑まれると面倒なことになる。



「やだ怖ーい。あーあ、昔は可愛かったのにな」

「いつの話してんだよ。あと、ここ学校だからもう少し声抑えろ」

「はいはいごめんなさいね!」



ったく……相変わらず騒がしい姉ちゃんだ。

面倒くさそうに謝ったと思いきや。



「あ、そうだ! 北松さん、もし良かったらこれ受け取って!」

「おい! 勝手に変態事務所に勧誘するな!」

「失礼ね! 立派な芸能事務所よ!」

「どこがだ!」



明莉に名刺を渡し始めた彩葉を引き剥がす。

このまま付き合ってたら飯食う時間がなくなってしまう。

明莉の手を引いて、逃げるように校舎に戻った。