「明莉と全然話してないんでしょ? 連絡も取ってないって聞いたよ」

「うん……練習で忙しそうだったから邪魔になるだろうと思って」



結局、体育祭の日が来るまで謝れなかった。

というのも、黒瀬先輩の告白の話を聞いてから、なんとなく顔を合わせづらくなったから。



「明莉ー! 冬川くんが話があるってー!」

「ちょっ、光野さん⁉」



苦しい言い訳を吐くと、光野さんが前を歩いている明莉を呼んだ。

このタイミングで⁉



「何?」

「あー……元気だった?」

「うん! そっちは?」

「……俺も元気だったよ」



小走りでやってきた彼女にボソッと返した。


いやいや、こんなしょうもない会話をするやつのどこが元気なんだよ。

でも、せっかく光野さんが気を遣ってくれたんだ。

体育祭が始まる前に全部話そう。



「今更だけど、色々意地悪してごめん」

「……あぁ、ファミレスのやつ? もう気にしてないよ!」

「そう……?」



あっけらかんとしている明莉に拍子抜けした。
と、思いきや。



「実はあの話、南くんに全部聞かれてたの。恥ずかしくって腹が立ったから、南くんに詩恩のこと全部話しちゃった!」