「……うん。2年生の時までは引きずってたんだけど、覚悟決めて春休みに仏壇の前で告白したんだ。もちろん返事は返ってこなかったけど、その日はいつもよりグッスリ眠れたよ」



過去の恋愛を精算した先輩の顔は、少し切なそうにも清々しくも見えた。



「乗り越えられて良かったですね! その告白の後、お姉さんの夢は見ましたか?」

「……北松さん、冬川くんにどこまで聞いたの?」



うげっ、またやらかしてしまった。
私、さっきから口滑りすぎてる……。



「すみません……」

「いいよいいよ。後で清花と冬川くんに問い詰めとくから」



ケラケラ笑いながら許してくれたものの、問い詰めとくって。


青石先輩、詩恩、巻き込んでごめんなさい。
どうか失言してしまった私を許してください……!


心の中で謝り倒していると、突然先輩が反則級の笑顔で顔を覗きこんできた。


うっひゃあ! かっこいい……!
って、いきなりどうしたの……⁉



「北松さんにだけ教えるけど……実は最近、新しく好きな人ができたんだ」

「え……?」



目を丸くして驚く私に、黒瀬先輩はイタズラっ子みたいな顔で「秘密だよ?」と口にした。