翌朝。



「そんな去り方……お金に余裕がない人がやっても全然かっこよくないよ」

「千夏さぁん……ツッコミがキツいですよぉ……」



登校して早々、千夏から鋭いツッコミをおみまいされた。


確かに口走った私もバカだけど!
いつも金欠ギリギリだけど!

だけど……煽ってきた詩恩も悪いと思う!


あの腹黒い笑みと巧みな話術で、私に恥をかかせようと誘導してたに違いない!



「学生にとって千円って結構デカい金額だよ? まだ時間あるし、今からでも貰いに行ったら?」

「ううう……」



現実を突きつけられ、かっこつけた昨日の自分を殴りたくなった。


でも今更、「おつり下さい」なんて、かっこ悪すぎて言えない。

勝手にキスしたお詫びってことにするか……。



「失礼します。北松さんいますか?」



ドアのほうから聞き覚えのある声が聞こえ、体がピクッと揺れた。



「はーい。ここにいますよー!」

「ちょ、千夏……!」



入口に立っている詩恩に向かって、千夏は私の手を握ってブンブン振っている。

このタイミングで来るなんて……!
今、気まずさマックスなのに……!