明莉side



「────と、こんな感じ」

「そうだったんだ……」



先輩達にそんなツラい過去があったなんて。

乗り越えてるみたいだからホッとしたけど、黒瀬先輩がちょっと気の毒だなぁ……。



「……で、ここからが本題なんだけど、黒瀬先輩の好きな人は、そのお姉さんかもしれない」

「ええっ……⁉」



確かに、数年前に他界してるのは当てはまるけど……。



「どうしてそう思うの?」

「黒瀬先輩は水沢くんのことをめちゃめちゃ可愛がってるよね?」



言われてみれば……肩組んでたし、寂しがり屋ならスキンシップが多いのも納得がいく。



「それって、お姉さんと顔が似てるからだと思うんだよ」

「んー……考えすぎじゃない?」

「これを見ても?」



すると、詩恩はスマホを取り出して1枚の写真を見せてきた。



「黒瀬先輩、水沢くんがうんざりするくらいベタベタしててさ、他の人達に比べて距離感が尋常じゃなかった」



画面に映っているのは、去年の女装コンテストの写真。


黒瀬先輩も一緒に写っているのは、コンテストの司会をしたからなんだそう。

何枚か見せてもらったところ、水沢くんが隣にいる時だけは、頬っぺたがくっつくくらい距離が近い。