切ない顔をしていたのは、お姉さんの夢が妙にリアルな内容で、目が覚めた時に現実とのギャップを感じるからとのこと。



「────でね、そのハンバーガーのお肉が肉汁たっぷりですんごく美味しくってね……」

「へぇ……」



感傷的な空気が流れていたのもつかの間、校門に到着する頃には、今朝見た夢の話に。

一緒に大好物のハンバーガーを食べまくっていたらしい。


黒瀬先輩もハンバーガーが好きで、生前はみんなで1から作ってはパーティしたんだそう。

仲良しだったんだなぁ。



「あ、ごめん。暴走してたね」

「いえいえ。水沢くんと黒瀬先輩もお姉さんの夢は見るんですか?」

「透瑠くんは見るって聞いたけど、隼は全然見ないんだって。なんで俺だけ……って寂しがってたよ」



しょんぼりしている先輩の姿が目に浮ぶ。
お気の毒に……。



「あぁ見えて寂しがり屋だからねぇ~。優しいんだけど、ちょっと女々しいんだよね。昔、好きな子に『見かけ倒し』って言われたこともあったらしいよ」

「あー、黒瀬先輩ってギャップありますよね」



全く同じことを思っていたのだけど、さすがに「ですよね!」とは言えなかったので、笑ってやり過ごしたのだった。