彼が言うには、お互いに信頼関係を築いているから、異性と話しても嫉妬しないんだそう。


そうだよな。
まず、学年が違うんだから、異性のクラスメイトと話すことくらいあるよな。

いちいち嫉妬してたらキリがねーよ。



「そういえば、中学からの友達でしたっけ。もしかして久しぶりにみんなで遊ぶんですか?」

「んー……遊ぶというか、集まるというか……」



困った顔で笑っている。

あ……もしかして聞いちゃいけなかったやつ?



「……今日ね、透瑠くん家に行くの」



声のトーンと表情で瞬時に察した。



「もしかして……お姉さんに会いに?」

「……うん。今日が命日なんだ」



数ヶ月前、3人で図書室で話している時に兄弟の話になって、水沢くんにお姉さんがいたことを知った。

青石先輩と黒瀬先輩とは大の仲良しだったんだって。



「なんかすみません……」

「謝らないでよ! もう4年も前だし! もう引きずってないよ!」



引きずってないのは嘘じゃない。

図書室で話してくれた時、先輩も水沢くんも穏やかな顔をしていたから。



「……実はね、この日が近づいてくると、その子が夢に出てくるんだ。『うちのこと忘れてないかー⁉』って、ベラベラ話しかけてくるんだよ」